『夜明けに、月の手触りを』から、展~語りひらく東京・松本・オンライン編~
『夜明けに、月の手触りを』から、展 は、2013年に当時26歳の女性が書いた戯曲(演劇の台本)『夜明けに、月の手触りを』を触媒として場をひらき、性別年齢様々な人達で言葉を交わすプロジェクトです。
二十代後半の5人の登場人物たちがそれぞれ自身の心のひだを語る10年前のフィクションを小さなきっかけにして、#Me too 以後のジェンダー観の変化や、家族やパートナーとの関係、社会に対する違和感など、集った人たちがそれぞれお互いの声を聴き合う場となりました。
2023年7月に上田市の犀の角ではじまり、その後、東京・松本・オンラインでも場をひらき、10月の13日から3日間は、それまで80名以上と交わした言葉の断片の展示と、有志参加者と構成した言葉の上演、来場者を交えたクロストークを開催。
10月の犀の角で一区切りと考えていたこの企画ですが、
終わってから「10月、立ち会いたかったけど上田市まで行けなかった」「関心があるのでどのような会だったのか共有して欲しい」という声を多くいただきました。
企画が終わってからも、来場者や参加者の間でそれぞれ対話が続いているようで、今回の企画のプロセスは振り返りながらシェアする意義があるかもれない、と思い、これまで場をひらいた松本・東京・オンラインでも、交わされた言葉を振り返りながら、改めて機会を設けることにしました。
『夜明けに、月の手触りを』から、展~語りひらく編~
これまでと同様に、『夜明けに、月の手触りを』の戯曲を触媒としながら、企画のプロセスを振り返ったり、これまで交わされた言葉をシェアし、集った方と言葉を交わします。(もちろん、発話したくない方は聴いているだけで構いません!)
企画者のわたし(藤原佳奈)が進行しますが、多視点で言葉を交わせた方がいいなと思い、これまでの企画参加者や来場者の何名かにも声をかけています。
言葉を聴き合うことを試みる場ですので、参加にあたって、演劇やジェンダーについての知識や関心がなくても全く問題ありません。少し立ち止まって自分と他者の声に耳をすませてみたい方、場づくりに関心がある方などにもおすすめです。
下記記事などもご参照ください。ご来場お待ちしております!
『夜明けに、月の手触りを』から、展の案内(過去ブログから記録も読めます)
『夜明けに、月の手触りを』から、展についての寄稿文-11月9日(木)朝日新聞夕刊
10月14日の来場者(やぎかなこさん)が書いてくれたレポート
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『夜明けに、月の手触りを』から、展
~語りひらく東京・松本編~
~語りひらく東京編~
日時:11月27日(月・満月)19時~21時半(18時半OPEN)
進行:藤原佳奈、坂口彩夏、伊藤聖実
会場:100人の本屋さん 東急世田谷線「松陰神社前」駅徒歩すぐ
参加費(選択制):2500円 or 4500円 or 6500円
※全ての参加費に、台本1冊(価格1,000円)分の料金が含まれます。
~語りひらく松本編~
日時:12月27日(水・満月)19時~21時半(18時半OPEN)
進行:藤原佳奈(その他、これまでの企画参加者や来場者)
会場:栞日
参加費(選択制):2500円 or 4500円 or 6500円
※全ての参加費に、台本1冊(価格1,000円)が含まれます。
参加費は、選択制です。金額による内容の違いはありませんので、懐事情や関心度合いに合わせてよいものを選択ください。この選択式は、場をひらく際のお金のやりとりについて再考するため、今回有料で場をひらく際に毎回採用しています。すこし面倒かもしれませんが、宜しくお願いいたします!
台本をお持ちの方は、その旨備考でお伝えください。割引いたします。
東京編・松本編 ご予約フォーム
https://forms.gle/cGyL1JzMPnHL5zac6
【オンラインでも開催します!】
『夜明けに、月の手触りを』から、展~語りひらくオンライン編~
日時:12月13日(水・新月)19時~21時半
進行:藤原佳奈(その他、これまでの企画参加者や来場者)
会場@zoom
※声を聴き合う場に徹するため、顔を映さず、カメラオフでの参加をお願いします。資料など画面で共有いたしますが、企画者も顔は映さず進行します。
参加費(選択制):2000円or4000円or6000円
すべてに、台本データ(価格500円)分の料金が含まれます。
ご予約は下記peatixからお願いします。
https://yoakekaraten.peatix.com/
[企画者 プロフィール]
藤原佳奈
演劇家。身体と言葉の結び目を手掛かりに、わたしたちのはたらきを見つめ、場をひらく。能楽堂や、取り壊し直前のアパート、居ぬきスナックなど、様々な場所で「劇場」の機能を思考し、実践を重ねてきた。2023年現在、長野県松本市に居住。
とよはし芸術劇場主催 ⾼校⽣と創る演劇『Yに浮かぶ』脚本・演出(2020)
https://www.youtube.com/watch?v=hZz0umBvX2U
神奈川県主催 分⾝ロボットOriHimeプロジェクト『星の王⼦さま』脚⾊・演出(2022)
『夜明けに、月の手触りを』から、展
『夜明けに、月の手触りを』から、展
2023年10月13日(金)~15日(日)
OPEN 13時~21時半 ※15日のみ20時半まで
会 場 犀の角(上田市中央2丁目11-20)
展示入場無料 ※上演イベント時間の入場は有料となります
『夜明けに、月の手触りを』は、30歳を目前にした手触りを残しておこうと、
2013年に当時26歳の女性が書いた戯曲(演劇の台本)です。
女性やジェンダーをめぐる言葉が目まぐるしく変化したこの10年。
「10年前の手触りを書き留めた言葉に、今、様々な人が触れてみると、どのような言葉が交わされるだろう」という関心から、
今年7月から、性別年齢問わず人が集い、戯曲に触れたそれぞれの手触りを聞き合う場(『ここに、台本がある』)が、上田市の犀の角をはじめ、松本、東京、オンラインなど様々な場所でひらかれました。
フィクションを真ん中に置いて紡がれた言葉は、ジェンダーに対する価値観の変化や、東京との距離、結婚・子育てについての葛藤、家族との関係など台本と紐づいた話題でありながら、それぞれが感じてきた切実な声でした。
今回、上田市犀の角で3日間開催する【『夜明けに、月の手触りを』から、展】は、
これまで交わされた言葉や声を拾い集めた展示と、
『ここに、台本がある』参加者が対話から創作した演劇の上演、
そして、来場者とともに新たに言葉を交わす時間です。
展示は入場無料で、会場にあるものは全て、触れたり、聞いたり、読んだりできます。
珈琲を飲みながら台本を読んでみたり、誰かの声に触れてみたり、
また、近くにいる誰かと言葉を交わしてみたり、
来場した方にとって、過ごしやすい居心地を見つけていただければと思います。
フィクションを起点に、さまざまな角度から照らされ浮かび上がる、それぞれの言葉。
わたしたちの社会の変化、現在地を見つめ、
今ある言葉を、ただ、真ん中においてみる。
(10月7日追記情報)
展示イベント期間中、犀の角はカフェ営業をしています。
今回のイベントに合わせたオリジナルメニューの軽食もあります!
■上演イベント
『夜明けに、月の手触りを』から
台本を読んで言葉を交わした『ここに、台本がある』参加者と共に、対話から創作した演劇の上演と、来場者を含めたクロストーク。
期間中、毎日一回開催します。
上演イベント時間
10月13日(金)18時~21時
10月14日(土)17時~20時
10月15日(日)15時~18時
[イントロダクション30分+演劇上演60分+クロストーク90分]
のスケジュールで予定しておりますが、当日若干前後するかもしれません。
上演イベント時間は日によって違いますので、ご予約の際お気をつけください。
出演・演出 伊藤聖実 丸山風音 三村昌子 渡辺瑞穂 ほか
構成・演出 藤原佳奈
上演立ち会い料(選択制)
2,500円 or 4,500円 or 10,500円
ご自身の関心や懐事情に合わせて、選択ください。
料金による内容の違いはありません。
ご予約はこちらからお願いします!
予約フォーム▶https://forms.gle/LLbpQCemnfMu17gY8
お問い合わせ yoakenitukinotezawariwo@gmail.com / 070-4002-5458
■『夜明けに、月の手触りを』から、展とは?
企画の流れをまとめたパワーポイント
『夜明けに、月の手触りを』から、展のイントロダクション.pptx - Google スライド
(チラシ裏面にも掲載、交わされた言葉の断片)
「今50代だけど、ちょっと前に、子どもいなくて共働きのDINKsって言葉、流行ったでしょ。それがカッコイイみたいな。今は子ども持たないっていうか、持てない、だよね。」
「ここの夢の台詞読んでバクバクしたわー。よく見る夢があんねんけど、お母さん!ってでっかい声で呼んでて、あ、ちゃうやん、わたしがお母さんやん、って気づく夢なんやけど。それ思い出した。お母さんについて、なんか思ってんのかなあ。」
「30歳になったとき、頂上に登ったようなすがすがしさがあったんですよ。やったぞー!って」
「女性で建築家ってことで、大目に見られるけど一人前としては扱われてない、っていう。周りの職人さんも監督さんも男性の世界だから。だから良い図面書いて説得する。それが救いでもあるなって思う。モノが真ん中にあるってことが。」
「男性は今、加害者になりたくないっていうのは、やっぱりありますよ。どこで間違うか分からないので。怖いですよ。」
「世代のことで言えば、わたし今25歳ですけど、わたしたちの世代はもう進んでるというか、学校はジェンダー平等な感じで、特に違和感なくて。でも、学校の外に出たら、あれ?って。ギャップがあるって感じですね」
「2013年ってこれがリアルだったんだ……もしこれが実際に起こったら簡単に炎上するよなと思うシーンがいくつもありました。 「お前がナースだったらいいのに」っていう先輩とか。この声を、男性である僕が読んだら、馴染んだ感じと気持ち悪い感じの両方がありそうで、うすらさむい……。その台詞を、言えてしまいそうな自分がいて怖いというか。」
宣伝美術:大沢夏海 画:浅見二加 照明:伊藤茶色
協力:一般社団法人シアター&アーツうえだ 100人の本屋さん EIKA studio
三茶WORK 三茶PLAYs 信州大学人文学部 松本市教育委員会
有吉宣人 安東信助 里内伽奈 端田新菜 平野鈴 原口さとみ 坂口彩夏 伴朱音
企画:藤原佳奈
主催:『夜明けに、月の手触りを』から、展
[企画者 プロフィール]
藤原佳奈
演劇家。身体と言葉の結び目を手掛かりに、わたしたちのはたらきを見つめ、場をひらく。能楽堂や、取り壊し直前のアパート、居ぬきスナックなど、様々な場所で「劇場」の機能を思考し、実践を重ねてきた。2023年現在、松本市に居住。
とよはし芸術劇場主催 ⾼校⽣と創る演劇『Yに浮かぶ』脚本・演出(2020)https://www.youtube.com/watch?v=hZz0umBvX2U
神奈川県主催 分⾝ロボットOriHimeプロジェクト『星の王⼦さま』脚⾊・演出(2022)https://www.youtube.com/watch?v=Zkr01dPUivg&t=1891s
記録⑱:9月14日『ここに、台本がある~創作場~』
9月14日の振り返り記録。
この日の数日前、Mさんが戯曲を読んでパートナーと対話をした、と言って、パートナーの許可をいただき、二人が話す音声を録音したものを聞かせてくれた。
パートナーのように関係が近いと、ジェンダーのことについてなかなか腹を割って話せないのかもしれない、話してみて、少し難しさがあった、と、Mさんは言った。
でも、もう少し対話を続けたい、と。
この日は、東京からIさんも参加し、上演参加メンバーが全員揃った。
そして、上演には参加できないけれど、前回参加してくれたSさん、以前に一度『ここに、台本がある』に参加してくれたKさんも参加。
わたし以外ちょうど6名いたので、聞き書きを試してみることにした。
『夜明けに、月の手触りを』を読んだそれぞれの感触について、
3人で一つのグループになって、①語る人 ②聞く人 ③言葉を書き留める人 の役割を分けて一巡し、それぞれの言葉を聞き合った。
役割がはっきりしているから、これまで以上に語る人の言葉を改めてじっくり聞く時間となった。話していると、あっという間に時間はすぎる。
その後、書き留めた言葉をそれぞれが抜粋して場に共有した。
他者の声で読まれる自分の語りは、自分と出会い直すようで不思議な感覚なんだなあ、と参加者の反応を見ながら思った。
「わたし、この人と友達になれるわ~と思ったけど、これ自分だった。」と、Iさんが笑って言った。
Sさんは、この日話したことは、実はカウンセリングで話したことがあるのだけれど、それ以外では話したことがなかった、と言った。
「ほんとは、誰かに言いたかったんだと思います」
誰かの言葉を、否定せずにただじっと聞く、ということは、とてもシンプルなことだけど、なかなか機会がない。
こういう場がもっとあってもいいのに、と、Sさんの言葉を聞きながら思った。
Sさんも、Kさん(この日の参加者の中で唯一母を経験している)も、上演には参加できない。それでも、足を運んで、一緒に対話をしている。この日二人が参加してくれて、ほんとによかったな、と思った。
いわゆる演劇の上演に向かう稽古場だと、上演にどういうメンバーが参加するかは予め決まっている。“ワークインプログレス”という形で途中経過を公開することはあるけれど、こんなに上演参加者とそのまわりがグラデーションになる場は初めてだった。というより、どのタイミングであれこの企画に立寄ってくれた人すべてが参加者か・・・?
宣伝美術の打ち合わせをするときに、
大沢さんにこういう、台本や企画と色んな距離でいる感じにしたい、と絵を描いて伝えたことを思い出した。
結果この絵をのようになれているのかもしれない。
切実な話をずっとしている。
これは演劇なのだろうか? これこそが演劇なのか?
何かを名付ける、ということが、ことごとくしっくりこないけれど。
一歩ずつ、場が耕されていっている。
記:藤原佳奈
記録⑰:9月7日『ここに、台本がある~創作場~』
(今日は9月25日。
9月7日以降の記録が滞ってしまったので、おぼろげな記憶を頼りにざっと書く。)
9月の『ここに、台本がある』は、
『ここに、台本がある~創作場~』として、上演の準備に向かいながらも、
犀の角で開催し、誰でもそこに居合わせられるようなオープンな状態を保ちながら、ひらくことにした。
上演参加者の他に、犀の角に関する映画を撮っているというAさんと、小諸市のKさんが立ちよってくれた。
東京在住のIさんはオンラインで繋いで参加、そして上演には参加できないけれども、関心があるのでできるだけ参加したいというSさんも参加。
『夜明けに、月の手触りを』の台本を読んでそれぞれ感じたことを話したあと、
皆さんに展示についての相談をする。
今回、犀の角を3日間ひらき、午後から夜まで入場無料の展示として場を開放する。
そして、その展示時間の中で、毎日一回演劇の上演をする、という設えにしている。
劇場という空間が、上演される時以外は扉を閉ざすような閉鎖的な空間にせず、
わたしたちの生活の交点に劇場を位置付ける試みだった。
そもそも、犀の角自体、すでに生活の交点として存在している。
生活・街<犀の角<展示<演劇
と、軸を同じくしながら濃縮していく関係でありたかった。
なので、展示があっての演劇上演。
なんのための、何をしようとしている展示なのか、
その焦点を確かめないと、上演にも向かえない気がしていた。
『ここに、台本がある』でこれまで交わされた豊かな時間のことを思い返しながら、
「ただ真ん中に言葉を置くこと」が重要だったのではないか、と指摘があった。
確かに、『ここに、台本がある』では、正解を見つけようとしたり、議論したり、ということがなかった。ただ、感じたことを誰かが話し、それを、へ~と聞く。
言葉が、真ん中にただ置いて、並べられていく時間。
誰も萎縮せずに言葉を紡げる場にしたい、とか、こちらの態度としてはもちろん色々あったけれど、そうしようと思ってそうなったというより、必然的に、そのような場になった、という感覚だった。そして、そうなった最も大きな要因は、真ん中に戯曲というフィクションがあったからだと思う。
「本当は、感じたこのふわふわを、ふわふわのままに伝えたいんですけど。綿あめみたいな。でも、アルミの弁当箱に入れなきゃ、ってなって、形を整えたり、変形させたりしてしまう、そういうのが嫌で。」と、Mさんが言った。
ライターのFさんが、読んでもらうために編集する書き言葉と、音声の言葉は全然違う、と話した。
今回の企画では、耳障りよい言葉や、正しい言葉ではなく、できるだけそのままの言葉をそのままに、
ただ、お互いに「聞く」ことが一番大事なのかもしれない。
それは、他者の声も、自分の声も。
“9月18日に開催する『夜明けに、月の手触りを』から、展~2023東京編~に来場してくれた方には、終わってから感想やコメントを書いてもらおうと思っていたけど、声で応答してもらうのもいいかもしれない”と案が浮かぶ。
オープンにしていると、いつ誰が来るか分からないので、場に揺らぎがある。
初めてきた人には一から企画を説明する。どんな関心で来てくれたのかも分からない。
揺らぐなかでどうするか考えるのは、人が集って何かをやるうえで、現実的だ!と思った。それは、毎回必ず、目の前にいる人を信頼する方に懸ける、ということでもあった。
上演に向かう段階にもよるけど、やっぱりオープンな場にしてよかった。
記:藤原佳奈
【お知らせ】9月29日、『ここに、台本がある』満月のオンライン編 -『夜明けに、月の手触りを』から、展-
『ここに、台本がある』オンライン編
転職を繰り返す派遣社員、アイドルにはまる保育士、
広告代理店で働くデキる女、遺伝子を研究する大学院生、
関西から上京した女芸人、いずれも二十代後半の女たち。
女たちは、東京の片隅ですれ違い、出会いが緩やかな引き金となって、
日々滲んでいた思いが溢れ出す。脳裏にめぐる女たちの言葉は、
旋回し、飛躍して加速し、ひとりでに深みへと駆けていく。
誰に問われたわけでもないけれど、“女として生きる”手触りに思いが至る、ある、満月の夜。
(『夜明けに、月の手触りを』2013年上演パンフレットより)
『夜明けに、月の手触りを』は、30歳を目前にした手触りを残しておこうと、
2013年に当時26歳の女性が書いた戯曲(演劇の台本)です。
女性やジェンダーをめぐる言葉がめまぐるしく変化したこの10年。
「10年前の手触りを書き留めた言葉に、様々な人が触れてみると、
今、どのような言葉が交わされるだろう?」という関心をもとに、
戯曲をきっかけに性別年齢問わず立場の違う人が集い、戯曲から感じたそれぞれの言葉を聞き合う場(『ここに、台本がある』)を、上田市の犀の角をはじめ、様々な場所でひらいてきました。
今回、現地に出向くのが難しい方も参加できる場も作りたいと思い、オンラインでの開催をいたします。(告知が直前になってごめんなさい。)
年齢や性別、育ってきた地域や環境によって、感じることは様々です。
フィクションをきっかけに、それぞれの今やこれまでについて言葉を交わす機会になればと思っています。
『ここに、台本がある』満月のオンライン編
-『夜明けに、月の手触りを』から、展-
2023年9月29日 (金) 20時半~22時半
進 行:藤原佳奈
会 場:zoom
https://us06web.zoom.us/j/83408666266
ミーティング ID: 834 0866 6266
参加費:無料(別途台本購入代550円)
※こちらから、『夜明けに、月の手触りを』台本(PDF)をご購入し、事前に読んでいただければと思います。すでにお持ちの方は大丈夫です。
webからの購入が難しい方は、メールでその旨お伝えくださいませ。データをお送りいたします。
ご予約:yoakenitukinotezawariwo@gmail.com
①お名前 ②過去に『夜明けに、月の手触りを』から、展関連企画にご参加があればその旨を ご記入の上、上記メールまでご予約ください。
ご予約なしでも参加いただけますが、人数把握のためにご協力いただけますと幸いです。
[参加ルール]
できるだけ緊張をせず、誰かの声に耳を澄ませる、という環境に挑戦してみたいので、カメラオフでの参加をお願いいたします。企画者の藤原も、カメラオフで台本だけが画面にうつる形で参加します。チャットのみでの参加もOKです。
お問い合わせ:070-4002-5458
これまで、ほとんどの方が初めて演劇の台本に触れるという方々でした。
フィクションはきっかけにすぎませんので、知識も必要ありません。
じっくりお互いの言葉を聞くことに興味がある方、ご参加お待ちしています!
『夜明けに、月の手触りを』から、展 企画の記録ブログ
https://yoakenitukinotezawariwo.hatenablog.com/
企画:藤原佳奈
主催:『夜明けに、月の手触りを』から、展
【上演イベント予約開始!】『夜明けに、月の手触りを』から、展
『夜明けに、月の手触りを』から、展
2023年10月13日(金)~15日(日)
OPEN 13時~21時半 ※15日のみ20時半まで
会 場 犀の角(上田市中央2丁目11-20)
展示入場無料
※上演イベントの入場は有料となります
『夜明けに、月の手触りを』は、30歳を目前にした手触りを残しておこうと、
2013年に当時26歳の女性が書いた戯曲(演劇の台本)です。
女性やジェンダーをめぐる言葉が目まぐるしく変化したこの10年。
「10年前の手触りを書き留めた言葉に、様々な人が触れてみると、どのような言葉が交わされるだろう」という関心をもとに、
今年7月から、性別年齢問わず人が集い、戯曲に触れたそれぞれの手触りを聞き合う場(『ここに、台本がある』)が、上田市の犀の角をはじめ様々な場所でひらかれてきました。
フィクションを真ん中に置いて紡がれた言葉は、ジェンダーに対する価値観の変化や、東京との距離、結婚・子育てについての葛藤、家族との関係など台本と紐づいた話題でありながら、それぞれの切実な声でした。
今回、上田市犀の角で3日間開催する【『夜明けに、月の手触りを』から、展】は、
これまで交わされた声や言葉を拾い集めた展示と、
『ここに、台本がある』参加者が対話から創作した演劇の上演、
そして、来場者とともに新たに言葉を交わす時間です。
展示時間は入場無料で、会場にあるものは全て、触れたり、聞いたり、読んだりできるものです。
珈琲を飲みながら台本を読んでみたり、誰かの声に触れてみたり、
また、近くにいる誰かと言葉を交わしてみたり、
来場した方にとって、過ごしやすい居心地を見つけていただければと思います。
フィクションを起点に、さまざまな角度から照らされ浮かび上がる、それぞれの言葉。
わたしたちの社会の変化、現在地を見つめ、
今ある言葉を、ただ、真ん中においてみる。
■上演イベント
『夜明けに、月の手触りを』から
台本を読んで言葉を交わした『ここに、台本がある』参加者と共に、対話から創作した演劇の上演と、来場者を含めたクロストーク。
期間中、毎日一回開催します。
上演イベント時間
10月13日(金)18時~21時
10月14日(土)17時~20時
10月15日(日)15時~18時
[イントロダクション30分+演劇上演60分+クロストーク90分]
のスケジュールで予定しておりますが、当日若干前後するかもしれません。
上演イベント時間は日によって違いますので、ご予約の際お気をつけください。
出演・演出 伊藤聖実 丸山風音 三村昌子 渡辺瑞穂 ほか
構成・演出 藤原佳奈
上演立ち会い料(選択制)
2,500円 or 4,500円 or 10,500円
ご自身の関心や懐事情に合わせて、選択ください。
料金による内容の違いはありません。
ご予約はこちらからお願いします!
https://forms.gle/LLbpQCemnfMu17gY8
■『夜明けに、月の手触りを』から、展とは?
企画の流れをまとめたパワーポイント
『夜明けに、月の手触りを』から、展のイントロダクション.pptx - Google スライド
お問い合わせ yoakenitukinotezawariwo@gmail.com / 070-4002-5458
(チラシ裏面にも掲載、交わされた言葉の断片)
「今50代だけど、ちょっと前に、子どもいなくて共働きのDINKsって言葉、流行ったでしょ。それがカッコイイみたいな。今は子ども持たないっていうか、持てない、だよね。」
「ここの夢の台詞読んでバクバクしたわー。よく見る夢があんねんけど、お母さん!ってでっかい声で呼んでて、あ、ちゃうやん、わたしがお母さんやん、って気づく夢なんやけど。それ思い出した。お母さんについて、なんか思ってんのかなあ。」
「30歳になったとき、頂上に登ったようなすがすがしさがあったんですよ。やったぞー!って」
「女性で建築家ってことで、大目に見られるけど一人前としては扱われてない、っていう。周りの職人さんも監督さんも男性の世界だから。だから良い図面書いて説得する。それが救いでもあるなって思う。モノが真ん中にあるってことが。」
「男性は今、加害者になりたくないっていうのは、やっぱりありますよ。どこで間違うか分からないので。怖いですよ。」
「世代のことで言えば、わたし今25歳ですけど、わたしたちの世代はもう進んでるというか、学校はジェンダー平等な感じで、特に違和感なくて。でも、学校の外に出たら、あれ?って。ギャップがあるって感じですね」
「2013年ってこれがリアルだったんだ……もしこれが実際に起こったら簡単に炎上するよなと思うシーンがいくつもありました。 「お前がナースだったらいいのに」っていう先輩とか。この声を、男性である僕が読んだら、馴染んだ感じと気持ち悪い感じの両方がありそうで、うすらさむい……。その台詞を、言えてしまいそうな自分がいて怖いというか。」
宣伝美術:大沢夏海 照明:伊藤茶色
協力:一般社団法人シアター&アーツうえだ 100人の本屋さん EIKA studio
三茶WORK 三茶PLAYs 信州大学人文学部 松本市教育委員会
有吉宣人 安東信助 里内伽奈 端田新菜 平野鈴 原口さとみ 坂口彩夏 伴朱音
企画:藤原佳奈
主催:『夜明けに、月の手触りを』から、展
[藤原佳奈 プロフィール]
演劇家。身体と言葉の結び目を手掛かりに、わたしたちのはたらきを見つめ、場をひらく。能楽堂や、取り壊し直前のアパート、居ぬきスナックなど、様々な場所で「劇場」の機能を思考し、実践を重ねてきた。2023年現在、松本市に居住。
とよはし芸術劇場主催 ⾼校⽣と創る演劇『Yに浮かぶ』脚本・演出(2020)https://www.youtube.com/watch?v=hZz0umBvX2U
神奈川県主催 分⾝ロボットOriHimeプロジェクト『星の王⼦さま』脚⾊・演出(2022)https://www.youtube.com/watch?v=Zkr01dPUivg&t=1891s
記録⑯:9月5日、『ここに、台本がある』東京・友人のアトリエ編
随分間が空いてしまった記録。
おぼろげな記憶を辿りながら書きます。
9月5日。
2023東京編の打ち合わせを終え、しばらく渋谷で仕事をしたあと、
友人の建築家のアトリエへお邪魔した。
この日は、アトリエを借りて『ここに、台本がある』~東京編~を開催。
もともと、台本と私一人から始まった企画なので、体力的にも色んな場所でやる、ということは想定していなかったのだけれど、東京が舞台となっている戯曲を取り扱いながら、東京で何もしないというのも違和感があるな、と思うようになり、
ぽろっと呟いた私のSNSの投稿を見て、
ふじかな!久しぶり! 夜明け、東京でやることがあったら行きたい!
と、連絡をくれたのがはじまりだった。
場所があれば『ここに、台本がある』をやりたいのだけれど、と彼女に相談をしたら、快くアトリエを貸してくれることになった。
参加したのは、彼女(Eさん)、彼女のアトリエの社員のAさん、アトリエに共同オフィスとして使っている建築家のIさん、インターンのNさん、私が声をかけたMさんと、Tさん、そしてSさん。(Sさんは、『ここに、台本がある』にこれまでも参加し、犀の角での上演にも参加する)
珈琲を飲みながら、ざっくばらんに台本を読んだ感想や、そこから脱線した話などをする。そして、最後に、台本の『5人の夜明け』を読んだ。
記録できない話もあるので、また、抜粋を。
“今36歳で。10年前か……10年前は、今言われているような“女性だから”っていう違和感は、気づいてなかったですね。当時はそれが当たり前だった。だからこの台本は、わたしには、全然、今って感じです。”
“世代のことで言えば、わたし今25歳ですけど、わたしたちの世代はもう進んでるというか、学校はジェンダー平等な感じで、特に違和感なくて。でも、学校の外に出たら、あれ?って。ギャップがあるって感じですね”
“女性で建築家ってことで、『大目に見られるけど一人前としては扱われてない』、っていう。周りの職人さんも監督さんも男性の世界だから。だから良い図面書いて説得する。それが救いでもあるなって思う。モノが真ん中にあるってことが。”
“今、弱者男性っていう言葉あるじゃないですか。あれ、実は一歩進んでるってことだとも思って。なかったことにされてきた立場に名前がついたっていう意味で。”
“あさこのとこの台詞を読んで思ったのは、サザエさんみたいなとかちびまるこちゃんみたいなとか、普通っていうイメージと、完璧っていうのが近い気がする。”
“あさこの妹への手紙を読んでいるところで、人にお祝いを言うときに、本音で祝えてるか?というのを思った”
“結婚式って今あんまりしない人増えたましたよね? どうですか?”
“周り(20代)、確かにあんまりいわゆる式をしないかも”
“昔は、結婚式っていうのはある意味社交の場で、上司がお祝いの言葉を言ったりとか。女は寿退社して、みたいな”
“うわ~時代~”
“男性は今、加害者になりたくないっていうのは、やっぱりありますよ。どこで間違うか分からないので。怖いですよ。今日も入ってきて、あ、男わたし一人だ、って笑”
“そうですよね、こういう場に男性一人だと肩身せまいですよね……”
注)呼んでいたもう一人の男性が急遽来られなくなっていた。
“ほんとは、性別関係なくしなやかに言葉を交わしてみたいって思ってて。でもそれは、まだ色んな傷がお互いにあるから、できる人からやっていくしかないのかもしれない”
世代が同じでも、台本をどれくらい“今”と感じるかは違う。そして、時代は確実に進んでいる、と、20代の人と話すと、毎度再確認する。
この日は、半分が建築家、ということで、建築家だからこそ感じる言葉をたくさん聞かせてもらった。
職業によって接する人やはたらき方が違うと思うと、職業(職についていなくても、どうはたらき、日々を過ごしているか)という環境によって、わたしたちは、どんな生き物に変態していくかが、決定されていくのか。
日々過ごす環境について考えることは、建築も演劇も同じことをやっているなあ、と思った。
つくづく、一人で記録をする場ではないなと思う……。
今後、この日のSさん視点の記録も更新されるはず。
記:藤原佳奈